ラビット・イフェクトを紹介した前回の「こころトーク」を読んだ方から、「研究者もウサギに癒やされていたんでしょうね」というコメントをいただきました。
先週紹介したのは、脂肪分の多い餌を与えられたウサギでも、研究者がやさしく世話をしていると心臓疾患になりにくかったという現象です。
その事実から、つながりの大切さについて書いたのですが、その人は、やさしく世話をされたウサギはもちろんとして、ウサギをかわいがっていた研究者のこころも癒やされていたのだろうというのです。
一本取られた思いです。
私は研究にばかり目が向いて、ウサギのことを考えていました。
これも認知の偏りでしょう。
つながりが双方向に起こるという、ごく当たり前のことを見落としていました。
ウサギが喜ぶ姿を見て、研究者はうれしくなったはずです。
それでますますウサギをかわいがり、ウサギが喜び、研究者がうれしくなるという良い形の交流が展開していったのでしょう。
ここでも何回も書いてきたように、私たちが一番幸せになれるのは、相手の役に立ったときです。
研究者もウサギも、お互いがお互いの役に立っていると感じて、それがこころと体の健康につながっていったのだと思います。
研究室という、無味乾燥な場面でそうした触れあいや交流が起きていたと考えると、ワクワクしてきます。
そのことから、環境は変えることができるということにも気づきます。
私たちは、環境は変わらないものだと考えがちです。
とくに、自分にとって良くない環境があるとき、自分にはどうすることもできないと考えてしまいます。
そこであきらめて何もしないでいると、その良くない環境は良くないまま続いていきます。
しかし、環境は変えることができます。
今すぐ大きく変えることができなくても、できることを少しずつ積み重ねていけば、きっと変わっていきます。
あきらめないことが大切です。
そのときに、人でも動物でも、つながりが生まれるとなお良いでしょう。