こころトーク

2023.04.07

第392回 「ChatGPTと認知行動療法」

先週、話題にした将棋はAI活用の先駆けですが、最近は、いろいろな場面でAIが使われるようになってきました。

とくにChatGPTと呼ばれるAIチャットサービスは、今まで人間が担当していた作業を大幅に軽減する可能性があって、注目されています。

大人になってからデジタル機器に触れるようになったデジタル移民と呼ばれる世代も、社会の動きに遅れないようにと関心を向けています。

そうしたなか、私が親しくしている認知行動療法の専門家から、ChatGPTが認知行動療法をできるのではないかという連絡が入りました。

その友人から送られてきたChatGPTとのやりとりは次のようなものでした。

友人:私と認知行動療法をしてください。あなたが聞き役で、私が患者役です。

ChatGPT:了解しました。・・・何かお悩みのことはありますか?

友人:友達にメールを送ったのですが、返信がかえってきません。

ChatGPT:それはつらい体験だったでしょう。・・・その状況についてどのように考えていますか?

友人:とても落ち込みました。

ChatGPT:その気持ちはよくわかります。友達からの返信がないという状況は、孤独や拒絶の感情を引き起こすことがあります。この状況について、どのように考えていますか?

友人:友達に嫌われたと考えています。

ChatGPT:そのように考えるのは自然なことですが、それが事実であるというわけではありません。他にも、返信をしなかった理由があるかもしれません。・・・(いくつか例を挙げながら)・・・この状況について、もう少し積極的に考えることはできますか?

友人:そういえば、友達は最近忙しそうにしている気がします。

認知行動療法の進め方に驚くほど似ている対話が展開されているのを読んで、これからはAIを使ってこうしたやりとりができるようになりそうだと感じました。

しかし、やりとりをよく読むと、友人が認知行動療法のことをよく知っていて、上手にAIをリードして認知行動療法的な会話が成り立っていることがわかります。

ChatGPTのようなAIは文章が上手なので見落としてしまいがちですが、少なくとも現時点では、使い手の人間がAIを上手に使いこなすための知恵や知識が必要なようです。

その点では、「ここトレ」やYouTubeチャンネル「こころコンディショナー」を通して正確な情報を提供することがますます大事になっていると感じています。

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