オーディオブックを使う人が増えているというニュースが目に留まりました。
車で移動することが多い地方と違って、東京などの大都市では電車やバスなどの公共交通機関を使って移動します。
そうした移動のときに、スマートフォンを通して本の読み上げを聴く若い人が多くなっているというのです。
私も公共交通機関を使う一人です。
そのときに、スマートフォンで本を聴くことができれば、たしかに便利です。
もっとも、これまでも私は移動中に、スマートフォンを使ってYouTube動画を観ていました。
年をとってきてスマートフォンの小さい文字を読むのが大変になってきた私にとって、動画と音声で情報を入手できるYouTubeはとても便利です。
なかでもよく視聴しているのが、認知行動療法の創始者のアーロン・ベック先生のYouTube動画です。
アーロン・ベック先生は、生前、数分の動画から1時間半に及ぶ動画まで、いくつかの動画をYouTubeにアップしています。
便利な世の中になったと思うのですが、もう亡くなっているアーロン・ベック先生の話を直接聴いて勉強することができるのです。
そういえば、アーロン・ベック先生がオーディオブックを積極的に使っていたと、娘のジュディス・ベック先生から聞きました。
アーロン・ベック先生は、90歳前後から、緑内障のためにほとんど目が見えなくなっていました。
知的好奇心が旺盛で、本を読むのが好きだったアーロン・ベック先生にとって、目が見えなくなって本が読めなくなるのはさぞ苦痛だったと思います。
しかし、ベック先生は、そのような厳しい状況のなかで、オーディオブックを利用して本を読むことを続けたのです。
自分が自分らしく生きるために、できないことではなく、できることに目を向けていく認知行動療法の考え方を実践していたのです。
それができたのは、本を読みたい、新しい知識を吸収したいというこころからの思いにきちんと向き合ったからでしょう。
できないことにではなくできることに目を向けるのは難しいことですが、そのヒントをベック先生の生き方から学べると思いました。