前回、セルフケアは一人ではできないと書きました。
私たちは昔から、150人前後の集団で生きてきたと言われています。
集団生活に馴染んでいる私たちは、困ったときに相談できる人はもちろん、たわいない話をして一緒に笑える人がいるとこころが軽くなります。
そのとき、必ずしもお互いに何か特別なことを言う必要はありません。
一緒にいるだけでも十分です。
でも、一緒にいる人がいない場合もあります。
そのときに役立ててもらうために、チャットボット「こころコンディショナー」を開発したことはすでに書きました。
その「こころコンディショナー」のアンケートのなかに、自分の考えを振り返るのが面倒なときがあると書いた人がいました。
最初に作った「こころコンディショナー」の流れは、自動思考と呼ばれるとっさの判断から距離を置いて、現実に目を向けながらより適切な判断ができるようにしていく認知再構成法と呼ばれる方法を基本にしたものでした。
たしかに、そうしたアプローチは役に立ちます。
でも、精神的に疲れているときには、自分の考えを振り返り、現実に目を向けていくだけのエネルギーが出てこないことがあります。
そのようなときには、自分の考えや思いをただ書き込んで、それに軽く相づちを打ってもらうくらいの方がラクだというのです。
よくわかります。
そのように疲れているときには、ただそばにいて寄り添ってもらえるくらいの方が、気がラクです。
そこで、開発チームは、「雑談モード」という相づちを打つだけの対応をするフローを作って提供し始めました。
しばらく経って調べてみると、「こころコンディショナー」を利用する人の4人のうち1人が「雑談モード」を使っていました。
この結果から、人によって、そしてそのときの状態によって、役に立つ対応が違うということは、リアルな人間関係でも意識しておくと良いことがわかります。
最近は、自分らしい生活を送る助けになるような「充実モード」を提供するなど、サービスの内容を充実させていっています。
▼チャットボット「こころコンディショナー」
https://www.cocoro-conditioner.jp/