先日、NHKのクローズアップ現代で「ネガティブ・ケイパビリティ」が取り上げられていました。
ネガティブ・ケイパビリティというのは、曖昧さを抱えるこころの力で、作家で精神科医の帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんが同名の著作のなかでくわしく論じています。
その著作の副題は「答えの出ない事態に耐える力」となっています。
NHKの番組では、枝廣淳子さんの著作『答えを急がない勇気』も取り上げられていましたが、その本の帯には「早さ・効率だけでは解決しない!」と書かれています。
私たちは、いろいろな問題に出会うと早く解決しないといけないと考え、それができないと自分を責めてしまうことがあります。
何でも完璧にこなさないといけないと考え、少しでも不備があると、自分の手落ちだと考えてしまうこともあります。
しかし、世の中、早く完璧にできることはそうありません。
いろいろなことを試行錯誤しながら、時には立ち止まりながら、ほんの少しずつ進んでいくことの方がずっと多いのです。
たしかに、「早く」「完璧に」と考えることは大切です。
そう考えることで、私たちは先に向かって進んでいくことができます。
「早く」「完璧に」と考えても簡単にいかないことはたくさんあります。
そのときに自分を責めてしまうと、精神的に追い込まれて、本来持っている力を発揮できなくなります。
そのようなときには、期待することと現実にできることとを区別して考えることが役に立ちます。
自分がどのようになりたいかを考えながら実際に行動し、その結果を踏まえて次の手立てを考えるようにします。
そのプロセスと結果を振り返り、次に進む手立てを考えながら、試験的に行動してみる。
そうやって少しずつでも進むことができれば、自分が期待する現実に近づいていくことができます。
その間はたしかにつらい気持ちになるでしょう。
でも、あきらめないことです。
そのつらさを抱えながら、自分の夢を見失わないでいられれば、自分らしく生きていくことができるようになります。
それを支えるこころの力が、ネガティブ・ケイパビリティです。