こころトーク

2023.12.01

第427回 「あなたの夢や、生きる目的は何ですか?」

最近、認知行動療法の文献のなかでアスピレーションという言葉を目にすることが多くなってきました。

アスピレーションというのは、それぞれの人が心のなかで大切に持っている将来に向けての夢です。

これは、認知行動療法の創始者のアーロン・ベック先生が、重い精神疾患のために20年、30年と入院を続けている人のための認知行動療法を開発するなかで重視するようになった言葉です。

この言葉は、専門家だけが一方的に考え出した言葉ではなく、精神疾患に苦しんでいる人やその家族、専門家など関係する人たちが一緒に考え出した言葉です。

私たちは誰もが、将来に向けての夢を持っています。

生きる目的と言い換えてもよいでしょう。

その夢をはっきりと認識している人もいれば、ボンヤリとしか認識できていない人もいます。

どちらであっても、こころのどこかにそうした夢や目的を持っているからこそ、私たちはつらい体験をしても生きぬいていくことができるのです。

以前、ポジティブサイコロジーの考え方を提唱したマーティン・セリグマン先生と話をしたことがあります。

マーティン・セリグマン先生はアーロン・ベック先生と親しく、毎月会っていろいろなことを話し合っていました。

そのなかで二人は、人間と動物の違いは、将来を考えることができるかどうかだということで意見が一致したそうです。

目の前の出来事に動物的にこころを奪われるのではなく、将来を考えて工夫していけるのが人間だというのです。

もちろん、私たちはいろいろな問題を体験しますし、そのために気持ちが動揺することがあります。

しかし、そのようなときでも、自分の夢、生きる目的を意識することができれば、自分を取り戻すことができます。

こころを整えて、自分が期待する現実に近づく努力をすることができるようになります。

これは、精神疾患に苦しんでいる人だけでなく、こころを整えて自分らしく生きていこうとする人、すべての人にとって大切な考え方です。

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