こころトーク

2023.12.15

第429回 「前に進むきっかけになる『工夫すれば何とかなる』という思い」

前回はマーティン・セリグマン先生の学習性無力感の研究を紹介しました。

50年以上前に発表された研究ですが、今でも重要な意味を持つ知見を含む貴重な研究です。

第3グループの犬は、電流が脚に流れて、あわてて目の前にあるボタンを押しても何の変化も起こりません。

いくらボタンを押しても変わらない現状に、「どうせ何をやってもダメだ」と考えるようになり、何かをする意欲が失われてきます。

私たちは、何かをして楽しかったりやりがいを感じたりすると、「またやってみよう」と考えるようになります。

意欲は、ただ待っていても出てきません。

楽しいこと、やりがいのあることをして脳の報酬系を刺激することで、もっとやってみようという意欲がわいてくるのです。

しかし、「どうせ何をやってもダメだ」と考えるようになると、当然のことですが力がわいてきません。

そのために、挑戦することをあきらめるようになります。

挑戦したとしても、「どうせダメだ」と考えているために力を出しきれず失敗して、「やっぱりダメだった」と考えるようになります。

しかし、いくらつらくても、ボタンを押せば電流が止まる第2グループの犬のように、「工夫すれば何とかなる」と考えるようになっていると、困った状況を切り抜けようとする意欲がわいてきます。

もちろん、最初のうちはつらくてあきらめたくなります。

実際に、第2グループの犬は、「何とかなる」とわかるまではストレスホルモンがたくさん出ていることが、その後の研究からわかっています。

でも、あきらめないで工夫しているうちに、自分の力でつらい状況をコントロールできることがわかると、次に向けて進めるようになります。

そのときに、ただやみくもに頑張るのではなく、自分が何のためにそのようにしているのか、その意味がわかると頑張り続けられるようになります。

そのためには、前々回から書いているアスピレーション、つまり自分の夢や生きる目的を意識することが役に立ちます。

もちろん、気持ちがつらくなっているときにアスピレーションに目を向けるのは難しいので、楽しいことややりがいのあることをして気持ちが軽くなったときに考えてみるようにしてください。

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