こころトーク

2023.12.22

第430回 「あなたが楽しいのは、どんなときですか?」

前回、アスピレーション、つまり将来の夢や思いについて考えるのは、楽しいことややりがいのあることをして気持ちがラクになったときが良いと書きました。

気持ちがラクなっている、とくにワクワクしているのは、自分が好きなことをやっているからです。

そのときにしていることのなかに、自分が楽しみややりがいを感じられることが隠れているはずです。

しかも、気持ちが前向きになっているときには、自分がこれからどのように進んでいけば良いか考えるだけのこころの余裕があります。

どうせ何をやってもダメだというこころのブレーキが外れて、新しいアイディアが浮かびやすくもなっています。

12月の初めに開かれた日本認知療法・認知行動療法学会の講演で私が「楽しくなければ頑張れない、夢があるから頑張れる」という内容で話をしたのは、そのことを伝えたかったからです。

認知行動療法では、これまで一般に、気持ちが落ち込んだときのこころの動きに目を向けるように言われてきました。

そのときに頭に浮かんでいる考えやイメージを手がかりに、ネガティブに考えすぎていないかどうか、現実を俯瞰しながら検証していきます。

実際には思ったほど悪いことばかりが起きているわけではないとわかると、気持ちがラクになります。

気持ちがラクになると、もう少し工夫をしてみようかという気持ちがわいてきます。

そこで頭に浮かんだ工夫を現実に試してみるだけの気力も出てきます。

そうした方法は、たしかに役に立ちます。

しかし、そのようにつらい現実に目を向けて工夫できるのは、ある程度こころにエネルギーがあるときです。

どうせダメだと考えるようなこころの状態のときには、そのように現実に向き合うことはできません。

そして、結局、何をやってもダメだったという思いになります。

実際には何もしていないのですが…。

そうしたことを避けるためには、問題に向き合う前に、それが可能なこころの状態を意識的に作り出すことが役に立ちます。

前の記事 次の記事