知っ得!薬剤師コラム

2018.12.03

正しい理解を!更年期障害と向き合う第一歩

ひとりで悩みがちな「更年期障害」。

人によって、つらいと感じる度合いや症状はさまざまですが、自分の心や身体と上手に向き合い、対処したいものです。

今回は、そんな更年期障害について、予防や治療方法も含めてお話したいと思います。もし皆さんご自身や皆さんの周りで悩んでいる方がいらっしゃる場合には、このコラムの内容をぜひ参考にしてみてください。

更年期障害とは?

閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。日本産科婦人科学会では、更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く、日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と定義しています(1)

更年期障害の症状は大きく分けて3つあります(2)

更年期障害は、なぜ起こるの?

更年期障害のおもな原因は卵巣機能の低下です。卵巣機能の低下により十分な女性ホルモン(エストロゲン)が分泌できず、ホルモンバランスの乱れが生じます。

これに、加齢に伴う身体の変化、精神・心理的な要因、社会文化的な環境によるものなどが複合的に影響することにより、さまざまな心身の不調が発現すると考えられています(2)

症状が似ている別の病気にも注意

顔のほてりやのぼせ、発汗、月経不順などの症状が見られると、更年期の女性の多くが、「更年期障害かも…」と思われるかもしれません。

しかし、別の病気の場合でも、これらと似たような症状が見られることがあります。特に、更年期は甲状腺疾患が現われやすく、発汗や月経異常、精神症状など更年期障害と類似した症状が見られることが多いため、注意が必要です(2)

更年期障害の治療法

更年期障害は、加齢などの身体的因子、性格などの心理的因子、家庭や職場の人間関係などの社会的因子 が複雑に関与して発症するので、まずは十分な問診を行い、そのうえで治療します。

更年期障害の治療は、大きく分けて、「食事など生活習慣を見直す治療法」と「薬物療法」があります。生活習慣の改善や、物の受け取り方や考え方を変えるなど、心理的な側面から症状の軽減をはかる心理療法 を行っても症状が改善しない場合には、薬物療法を検討します。

薬物療法では、少量の女性ホルモンを補う治療が行われます。これは、特にほてりやのぼせなどの血管運動症状に有効とされています(2)。女性ホルモン薬には、飲み薬、貼り薬、塗り薬など様々なタイプがありますので、使用する際には医師とよく相談して自分に合ったものを選択しましょう。

また、漢方薬を使う場合もあります。症状の程度によっては、漢方薬とホルモン剤を併用する場合もあります。気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠などの精神症状が重い場合には、うつ病のお薬や不安をやわらげるお薬を使うこともあります。

近年開発されているうつ病のお薬は、副作用も少なく、ほてり・発汗などの症状に有効とされています(2)

しかし、服薬しても効果が見られない場合には、お薬を漫然と服用することは避け、精神科などの専門医にかかる必要があります。

更年期障害の予防について

更年期障害は卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れがおもな原因ですので、ホルモンバランスを整える必要があります。

それにはまず、ストレスをためない生活を心がけ、規則正しい生活リズムを作り、十分な睡眠をとるようにしましょう。また食事によるケアも大切です。

中でも女性ホルモンと似た働きをもつ大豆イソフラボンが豊富に含まれる豆乳や納豆などの大豆製品や大豆イソフラボンに関係したエクオールという成分も更年期症状の改善に効果的とされています(2)

他には、ウォーキング、ストレッチなど適度な運動も、更年期症状の緩和やストレス解消に良いとされています(3)

最後に

更年期症状・更年期障害の発現には個人差があり、非常に重い症状が見られる場合は、日常生活を送ることがつらく、いつまで続くのか不安に思う方もいらっしゃると思います。もし更年期による症状がひどい場合には、我慢をしないで婦人科を受診するようにしましょう。

また、更年期障害の症状に悩んでいる方が周りにいらっしゃる場合は、身体の変化について理解し、ご本人の不安な気持ちに寄り添うようにしましょう。

治療法はさまざまありますので、診察時に医師から説明をよく聞いたうえで、自分に合った治療法を選択していくようにしましょう。お薬で治療する予定であったり、もしくは既に治療中でお薬の効果、副作用、使用方法などに不安点や疑問点があれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。
参考資料

(1)公益社団法人 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/
diseases/index.php?content_id=14

(2)産婦人科診療ガイドライン­婦人科外来編2017
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/Gynecological
-practice/Gynecological-practice.pdf

(3)健康と病気 「更年期も元気にすごそう」大塚製薬
https://www.otsuka.co.jp/health-and
-illness/living-well-with-menopause/

 

※当コンテンツ内の画像はイメージです。

「知っ得!薬剤師コラム」では日本調剤の薬局でお配りしている健康情報誌 日本調剤新聞「かけはし」から情報を抜粋して掲載しています。