こころトーク

2021.07.09

第302回 「メールコミュニケーションでの誤解の経験ありますか?」

メールでのコミュニケーションは誤解を生みやすいと改めて感じました。

先日、米国留学時代の恩師で友人でもあるアレン・フランセス先生から届いたメールを、私がまったく勘違いしてしまいました。

そもそもは、イタリアのトリエステの精神医療を支援するオンラインの署名をしてほしいと、フランセス先生からメールで連絡があったのが始まりです。

トリエステは、長く入院していた精神疾患を持つ人たちが市中で生活できるようにして、精神科病院をなくすという先端的な取り組みをしたことで世界的に知られている町です。

ところが、地域の政治情勢の変化のために、取り組みを続けることが困難になりました。

そこで、米国の西海岸のロサンゼルスでトリエステのモデルを参考にして同じような取り組みを始めているHart Forward LAという団体が、以下のURLを通して支援のためのオンライン署名活動を始めました。

・トリエステの精神医療支援署名
https://t.co/0skVCBWgxJ

このHart Forward LAという団体が立ち上げられた背景には、米国の精神医療の課題があります。

米国では過去に、精神疾患のために長期に入院している人たちの多くが退院するような施策が行われました。

しかし、地域で引き受ける仕組みがきちんとできていなかったために、ホームレスになったり、犯罪行為のために刑務所に入らなくてはならなくなったりした人たちが増えました。

そのために、トリエステをモデルにした支援を行おうとする人たちが出てきたのです。

さて、先ほど書いた勘違いですが、このやりとりのなかで、フランセス先生から愛媛県愛南町の御荘クリニックの取り組みを紹介してはどうかというメールが届きました。

愛南町の取り組みについては以前にもこころトークで紹介したことがありますが、地域興しをすることで200人近い精神科病院に入院していた患者さんを全員地域で生活できるようにしたことで、世界的にも注目されはじめています。

ですから、愛南町の取り組みを紹介してほしいという文面を読んで、私はてっきり英語で紹介するものだと考えて、関係者の人たちにも話をして準備を始めました。

ところが、何度かメールをやりとりしているうちに、フランセス先生は日本語でまとめて発表することを提案していたのだとわかりました。

なんとも早とちりの勘違いです。

でも、最終的に、私の勘違いが功を奏して英語でも発表する話が進みました。

今回は、メールの、しかも英語でのコミュニケーションは難しいということと、失敗が良い結果につながることがあるという体験を紹介しました。