こころトーク

2021.09.10

第311回 「その原因は自分?自分以外?」

先週、インポスター症候群(インポスター現象)の説明のなかで、「帰属」という言葉を使いましたが、これは出来事の原因に対して使われる言葉です。

何かが起きたとき、私たちは、自分に原因があるのか、自分以外に原因があるのか、二つの可能性を考えます。

もちろん、どちらか一方だけということは少なく、自分にも自分以外にも原因があるのが普通なのですが、そのどちらが大きいと判断するかによって気持ちがずいぶん変わります。

思いがけず、よくない出来事が起きたとき、自分以外に原因があると考えると怒りの感情がわいてきます。

一方、自分に責任があると考えると、気持ちは落ち込んできます。

そのように原因のありかを考えて、必要に応じて適切な手立てを考えていくのは大切なのですが、ストレス状況に置かれると、私たちはどちらか極端に考えがちになります。

判断を曖昧にしているよりも、どちらかに原因があると明確にした方がスッキリして、楽だからです。

そのために、ストレスを感じるような状況では、白か黒か決着をつけて早く楽になりたいと無意識に考えてしまいます。

自分に責任があるのか、自分以外に責任があるのか、つい白か黒かの二分割で考えてしまうのです。

一般に、自分に自信がない人は、自分に責任があると考える傾向があります。

気持ちが弱くなっているときにも、自分の責任を大きく考えます。

そうすると、ますます気持ちが落ち込んでいきやすくなります。

一方、自分以外に原因があると考えると、そのように好ましくない状況を引き起こした相手に対して腹が立ってきます。

その結果、腹立たしさを相手にぶつけて、さらに関係が悪化してしまうことになってしまいます。

そうした状況になるのを避けるためには、認知行動療法で円グラフ法(パイチャート法)と呼ばれている方法が役に立ちます。

それは、影響している可能性のある複数の原因を書き出して、それぞれがどの程度影響しているか、その割合を書き出すようにする方法で、そのように視覚化すると、自分にどの程度の責任があるかを冷静に判断できて、気持ちが楽になってきます。

このようにしたうえで、解決可能な原因から手をつけていくようにすると良いでしょう。