子育てをしていると、子どもが大きくなるにつれて思ってもみないことをしでかして、ヒヤヒヤさせられることもしばしば。
今回は、特に乳幼児の時期に気をつけたい「誤飲」についてお話しします。
厚生労働省の平成27年度の報告(1)によれば、誤飲した年齢で最も多かったのが6~11カ月で27.3%と、全体の1/4以上を占めています。次いで多いのが12カ月~17カ月(17.8%)、3~5歳(17.5%)と報告されています。
生後半年を過ぎると、手の動きも発達して、自分からものをつかみ、何でも口にするようになります。子どもの目に入るところや手の届くところに口に入る大きさのものを置かないなど、細心の注意が必要です。
日常生活の中で危険がいっぱいの誤飲。その中でも特に注意したい3つのものについてご紹介します。
【医薬品】
自分自身のお薬よりも、ご家族に処方されたお薬を誤飲しているケースが多く報告されています。夕食後の時間帯に多く発生し、ご家族が使用したお薬を真似して口にしてしまうと考えられています。また、お薬の容器や包装を自力で開けられるようになる1歳~2歳児に多く報告されており、注意が必要です。
【たばこ】
誤飲件数自体は減っているものの全体の中では最も多く、毒性も強いため要注意です。なかでも未使用のたばこが最も多く(42件)、次いでたばこの吸い殻(12件)、たばこの溶液(タバコの吸い殻が入った空き缶などにたまっている液体:9件)となっています。
自力で室内を移動したり、両手で容器から水を飲めるようになる1歳前後の時期に最も多いため、テーブルの上など子どもの手の届く場所に置きっぱなしにしないようにしましょう。
特にたばこの溶液は、有害物質のニコチンが体内に吸収されやすい状態にあるため、「飲料の空き缶、ペットボトル等を灰皿代わりにする行為は、絶対に避けるべき」とされています。
【電池】
誤飲事故の件数はそれほど多くないものの、注意を払いたいのが「電池」です。特にボタン電池は、体内で消化管等に張り付き、穴を開けてしまう可能性があります。誤飲が報告された18件のうち4件は入院治療が必要だった事例で、危険度が高くなっています。
キッチンタイマーやおもちゃ等で遊んでいるときに飲み込んでしまった事例もありますので、電池の出し入れ口の蓋が壊れていないか確認する等、日ごろから注意をするようにしましょう。
飲み込んだものによって、水を飲ませたほうがよかったり、吐き出させてはいけなかったり、対処方法が異なります。誤飲をしてしまった場合の対処法について、こどもの救急にまとめられています。いざという時の相談窓口として、小児救急電話相談(#8000)や日本中毒情報センターを活用するのも良いでしょう。
その際、摂取した(可能性がある)ものと量、時間等のメモを取り、誤飲の状況を伝えられるようにすると良いです。
「つい、うっかり」が引き起こす誤飲事故。子どもの目線に立って、手の届く場所や視界に入るところに口に入れやすいものを置きっぱなしにしないことが最大の予防法です。
(1)厚生労働省「平成27年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」
「知っ得!薬剤師コラム」では日本調剤の薬局でお配りしている健康情報誌 日本調剤新聞「かけはし」から情報を抜粋して掲載しています。