知っ得!薬剤師コラム

2018.01.08

女性も増加中!痛風の原因と対策

あけましておめでとうございます。本年も「知っ得!薬剤師コラム」をよろしくお願いします。

今回から、あらゆる世代の方に向けた、さまざまな病気やお薬に関するお役立ち情報を発信していきます。

記念すべき2018年最初のテーマは、「痛風(高尿酸血症)」。年末年始で飲み過ぎ、食べ過ぎが気になるこの季節、注意すべきポイントなどをご紹介します。

女性も要注意!痛風ってどんな病気?

痛風は、尿酸という物質が体内で多い状態が続くことによって、足の親指などに沈着し腫れ上がり、痛みなどの症状が出る病気です。「風が吹いても痛い」ことから痛風と呼ばれます。痛みなどの症状を伴わない尿酸値が高い状態は「高尿酸血症」と言います。

痛風は特に男性に多い病気で、女性は「女性ホルモンによって尿酸値があまり高くならない」とされていますが、食習慣の変化から女性の痛風も近年増えてきています(1)。特に女性ホルモンが減る閉経後には急速に増加しており(1)、女性も注意が必要な病気です。

痛風の原因とは

痛風は「プリン体」と呼ばれる尿酸の元になる物質が原因とされ、それを多く含むウニやイクラなど、ぜいたくな食材を食べることで起こることから、「ぜいたく病」とも呼ばれていました。

しかし、最近では、「メタボリックシンドロームがきっかけとなって引き起こされる」生活習慣病の一つとされています(2)。プリン体は、食物由来のもの以外に、体内でも多く作られ、特に肥満時などに多く生成すると言われています(2)。そのため、単にプリン体の多い食事を避けるだけでなく、肥満の解消や予防などが重要になります(3)

痛風の治療方法

痛風の治療には、痛みを抑え、尿酸値を下げる薬を使用します。尿酸を下げる薬には、尿酸の生成自体を抑えたり、体から尿酸の排泄を促したりするものなどがあり、患者さまの状況に合わせた薬を使用します(4)

痛みなどの症状がない高尿酸血症においても、数値がある一定以上高い場合、薬による治療が行われます。それと並行して、プリン体を多く含む食物を避け、飲酒を控え、水分を十分に取ることも大切です。

痛風対策に「生活習慣の改善」を!

尿酸値を下げるためには、生活習慣の改善が欠かせません。以下の3つのポイントを意識して日常生活に取り入れてみてください。
①「食べ過ぎ・飲み過ぎを控える」

プリン体だけでなく、「アルコール飲料やプリン体、果糖、ショ糖やカロリーの過剰摂取を避ける」ことが必要です(4)。アルコール自体に尿酸を上げる働きがある(1)ため、1日の目安として、「日本酒1合・ビール500ml・ウイスキーダブル1杯(60ml)までとして、週に2日以上を禁酒日」とする(3)ことが推奨されています。
②「十分な水分を取る」

尿酸を排出しやすくするために、水をたくさん飲むようにしましょう。1日2リットル以上の尿量を保つことがよいとされています(3)が、糖分の多いジュース・牛乳・アルコールを水代わりにするのはNGです。
③「適度な運動をする」

ウォーキングなどの有酸素運動が尿酸を下げる働きがあるとされています。逆に激しい運動は尿酸値が急上昇してしまいます(1)ので、体に負担の少ない軽い運動を心がけましょう。 

かつては「ぜいたく病」なんて言われていた痛風も、今や国民病のひとつです。水分を取って飲酒を控えるだけでなく、肥満解消と予防などが大事になります。「年末年始、飲み食いしすぎちゃったな~」という心当たりのある方は、まずはウォーキングから始めるなど、生活習慣を見直してみてくださいね。

(1)厚生労働省 (e-ヘルスネット).高尿酸血症.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
information/metabolic/m-05-007.html

(2)厚生労働省 (e-ヘルスネット). メタボリックシンドロームに由来する生活習慣病.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
information/metabolic/m-05-001.html

(3)厚生労働省 (e-ヘルスネット). 高尿酸血症の食事.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
information/food/e-02-003.html

(4)日本痛風・核酸代謝学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版).

「知っ得!薬剤師コラム」では日本調剤の薬局でお配りしている健康情報誌 日本調剤新聞「かけはし」から情報を抜粋して掲載しています。

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