今年も早いもので残すところあと1カ月。今年最後の「知っ得!薬剤師コラム」のテーマは、「インフルエンザ」です。
風邪とインフルエンザの症状は似ていますが、インフルエンザは重症化することがあり、予防や治療法においても風邪と異なります。
そこで、今回は知っておきたいインフルエンザの症状や予防法、注意したいポイントなどについてご紹介します。
風邪は多くの場合ウイルス感染によって発症しますが、インフルエンザは「インフルエンザウイルス」の感染によって起こります。
症状も共に「咳、鼻水、喉の痛み」などがありますが、インフルエンザでは「38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れる」という特徴があります(1)。
また、風邪の症状は重症化することはあまりありませんが、インフルエンザでは「お子さまではまれに急性脳症を、ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症になる」ことがあります(1)。高熱や全身倦怠感など、インフルエンザが疑われる症状を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
(当社ホームページ「1分でわかる健康知識 『かぜ』と『インフルエンザ』の違いは?」より)
インフルエンザの有効な予防法として、「ワクチン接種」があります。ワクチン接種をすることで、インフルエンザにかかる可能性を低くするだけでなく、インフルエンザにかかった場合の重症化予防につながると報告されています(1)(2)。
妊娠中の方の中には「ワクチン接種をして、赤ちゃんに影響があったらどうしよう…」と不安に思われる方も少なくないかと思います。現在使用されているインフルエンザワクチンは、不活化ワクチンという、「一般的に妊娠中のすべての時期において安全である」とされているワクチンです(3)ので、安心して接種していただけます。
その他、外出後の手洗いや、咳エチケット(他の人に向かって咳をしないなど)、適度な湿度の保持、十分な栄養とバランスの取れた栄養摂取などが予防に効果的とされています(1)。これらのポイントを押さえて、流行シーズンに備えるようにしましょう。
インフルエンザの症状が疑われた場合には、早めに医療機関を受診することが大事です。
インフルエンザはウイルスによる感染ですが、抗インフルエンザウイルス薬によって治療することができます。薬をきちんと服用することで発熱期間が1~2日間短縮されると報告されています(1)。ただし、症状が出てから2日以上たった場合は十分な効果は期待できないとされていますので、早めの対策が重要です。
お子さまや妊婦・授乳婦の方は、「抗インフルエンザウイルス薬を飲んでも大丈夫なの?」と気にされる方もいらっしゃると思いますが、使用してもよいかどうかは薬の種類によって異なります。
例えば「タミフル」という薬は10歳以上の未成年者の使用は原則禁止とされていますので、詳しくは医師や薬剤師にお尋ねください。
また、小さなお子さまや未成年者では、インフルエンザ発症による異常行動について、厚生労働省が注意喚起しています(4)。部屋の窓をしっかり施錠する、小さなお子さまや未成年者を一人にしないなど、具体的な対策方法が挙げられています。詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
日ごろの予防や早めの治療が大事となる「インフルエンザ」。「風邪をひいたかも…」と思ったら、下記のチェックシートでインフルエンザかどうかチェックしてみてください。気になることがありましたら、お近くの薬剤師に相談しましょう。
(当社ホームページ「1分でわかる健康知識 『かぜ』と『インフルエンザ』の違いは?」より)
★「健康コンテンツ」内の「気になる流行ナビ」では、首都圏のインフルエンザ流行情報を更新しています。薬剤師によるワンポイントアドバイスも載っていますので、ぜひチェックしてみてください。
(1)厚生労働省. インフルエンザQ&A
(2)国立感染症研究所. インフルエンザとは
(3)国立成育医療研究センター. 妊娠と薬情報センター:インフルエンザのワクチン・薬情報
(4)厚生労働省.(http://www.mhlw.go.jp/stf/
houdou/0000185998.html)
「知っ得!薬剤師コラム」では日本調剤の薬局でお配りしている健康情報誌 日本調剤新聞「かけはし」から情報を抜粋して掲載しています。