ストレスの多い現代社会では、うつ病に悩む人が増えてきています。
最近、気が沈んだり、食欲がわかなかったり、やる気が起こらなかったり、何もかも億劫だと感じたり、よく眠れない…などといったことはありませんか?
もしあるようだったら、それは、うつ病になりかかっているかもしれません。今月のコラムでは「うつ病」についてお話ししたいと思います。
「憂鬱である」、「気分が落ち込んでいる」などの症状が強い状態を抑うつ状態と言います。この状態が重く、ほとんど1日中、長期間続く場合、うつ病と診断されることが多いです。
うつ病は一般的に年齢、職業など関係なく誰でもかかるとされています。平成26年度の厚生労働省の患者調査では、医療機関を受診したうつ病・躁うつ病の患者数は112万人でした(1)。
うつ病は、病気、離別、転職、学業上のストレス、日々の人間関係などストレスが引き金になる場合もありますが、何も原因となるものがないまま発症することもあります。この場合は脳内で働く神経伝達物質の働きが悪くなっていることが原因として推測されます(2)。
その他、甲状腺機能低下症のような身体疾患、あるいは副腎皮質ステロイドや一部のC型肝炎治療薬(インターフェロン)などが原因となる場合もあります(2)。
このように発症要因は様々であり、うつ病に至るメカニズムは現在はっきりとは解明されていません。
「うつ病」でみられる症状には、自分で感じる症状、周囲から見てわかる症状、体に出る症状があります。(人によって症状には差があります)
重症化予防・早期発見のためにも、おかしいなと感じたら、周囲に相談しましょう。
また、ご家族や学校、職場の方など、ご自身の周囲の方がいつもと違う様子であると気づいたら、可能性の一つとしてうつ病を思い浮かべてみてください(下記の「うつ病でみられる症状」をご参照下さい)。しかし、自己判断は避け、医療機関へ受診するなど専門家に相談してみるようにしましょう。
うつ病でみられる症状(2)
うつ病をおこす原因がはっきりしているときは、治療法(2)として、その原因を取り除くことが検討されます。
体の病気が原因である場合にはその病気の治療を行ったり、また、薬による影響が原因として考えられる場合には、可能であれば薬の中止、もしくは別の薬へ変更するなどします。
性格面でストレスの影響を受けやすい人は、カウンセリングなど精神面へのアプローチが必要となります。
うつ病が重症である場合は抗うつ薬による治療も平行して行われます。
抗うつ薬は、現在では副作用の少ない飲みやすい薬も存在しますが、それでも頭痛や吐き気などの副作用が見られることがあります。また、薬の量を減らしたり、中止する際にイライラ感や不安感が強くなる、などの症状が見られることがあります。
そのため、うつ病の薬物治療は、主治医の判断のもと、期待される効果と予測される副作用を考慮しながら行っていく必要があります。
このように、うつ病の治療は一人ひとり違います。うつ病の原因や症状はいろいろあり、治療法もひとつではありませんので、うつ病とひとくくりに考えず、自己判断をせずに主治医とよく相談しながら治療を進めるようにしましょう。
うつ病は早期発見、早期治療が重要です。無理を重ねると症状が重くなり、治りづらくなる恐れがあります。
まずは無理をせず早めに医療機関を受診すること、それから信頼できる主治医を見つけるようにしましょう(2)。
うつ病は症状が良くなったり悪くなったりと回復までに時間がかかる場合もありますが、治療を継続していくことが大切です。薬についてわからないことがありましたら、気軽に薬剤師にご相談下さい。
参考資料
(1)厚生労働省. 平成26年患者調査の概況(統計表)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/
hw/kanja/14/dl/toukei.pdf
(2)厚生労働省. 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス(うつ病とは)
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/ speciality/detail_depressive.htm
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「知っ得!薬剤師コラム」では日本調剤の薬局でお配りしている健康情報誌 日本調剤新聞「かけはし」から情報を抜粋して掲載しています。